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ユーザーレビューがアテにならない時代の「確実に身につく技術書の選び方」

2016/07/30 [Sat]

やったぜ!戸田の駅前に明文堂書店ができた記念~本(技術書)の探し方・選び方

皆さん、本はどのように探していますか。
今回は文芸書ではなく、技術書のお話。

書店に足を運ぶ方、
Amazonの高評価レビューをみて「ままよ!」で購入する方、
いろいろおられるでしょうが、最近私は悟りました。

技術書は、少なくともウェブ系の技術書は
絶対に書店に行かないと駄目です。

Amazonのレビューがアテにならない時代に

といいますのも、業界内でぐるぐる献本されているため、
Amazonのレビューがいまいちアテにならないのです。

ある本で「★★★★★」がついているAmazonのレビューの下に
「みんな本をもらった人のレビューばっかりじゃないか、せいぜい星2つだ」
などと書いてあったりして、
一体なにを信頼していいのかワカランことになっている。

ちょっと00年代のSEOにも似てますよね。
みんなして裏技を使うものですから、エンジンそのものが
いまいちアテにならなくなってきている、みたいな。

そうだ…! 自分で考えればいいんだ!(最終回のセリフ風)

で、ここで私は思い出したのです。

よく『2001年宇宙の旅』とか『火の鳥 未来編』みたいなSFで
コンピュータの反乱が起きたとき、解決したあとになって
「やっぱり自分の頭で考えないとダメだ」
みたいなセリフで締めくくるじゃないですか。
時代は今、まさにアレなんですよ。

実際に行ってみて、めくってみて、考えて、買ってみる。
これぞ男の技術書選び。

ちょっと山本五十六っぽく言ってみました。

技術書だけは特に「書店に足を運んだほうがいい」ワケ

他にも、書店に行ったほうが良い理由はいくつかあります。

  • 先述の通り、Amazonのレビューにはバイアスが掛かるので鵜呑みにできない
  • 仮に【良書】と評価されていても、自分のレベルに合っているとは限らない。初心者・上級者の区分も自己評価も曖昧なものだ
  • たとえば、パソコンのディスプレイの中に、20冊の本のサムネイルがあったとする。大型書店に行くと、それ以上の本の背表紙が一度に目に入る。目的の本の隣にある本のほうが、自分と相性がよい可能性だってある
  • 【重要】技術書は文芸書と異なり、感性というより掲載情報の量や質の戦いであり、そして量や質は実体である。「この小説、文章量は少ないし、語彙力も低いけど、主人公の雰囲気が好き」といった満足は求めにくい。裏を返すと、立ち読みをして出した結論と読み込んだ結果の満足度の乖離が少ない。立ち読みですぐに解が求められるのだから、1時間で10冊でも20冊でも選べる実店舗は非常に効率がよい
  • とまあ、上記のようなメリットを生んでくれる書店には頑張ってほしいから、選挙に行く感覚で、お店を応援をする感覚で実店舗購入をする

このような理由から、本屋へは行くべきなのです。

【技術書の選び方・実践編その1】本当に好きになりたい人は、数冊買いましょう

引き続き、技術書の選び方について。

これは誰でしたか、たしか評論家の岡田斗司夫さんだったでしょうか、
あの方は、新しい分野について学ぶとき、入門書を数冊買う。
そして、その中に共通して書かれていることを知識として採り入れる。

しかし、中にはその本一冊にだけに書いてあることがあるが、
これは著者の主観だから切り捨てる、
といったことを仰っていたように記憶しています。

技術書を複数冊買うメリット

これは、根がオタクの私にとっても、実に納得できる学び方です。
知識のローラー作戦みたいなもので、複数の書籍にあたることで、
『スプラトゥーン』でいうところ
100%に知識を塗りつぶすことができます。

そして、本からはみ出た豆知識や雑学、別ジャンルとの連関性などは、
まあ好きになったら学んでいこう、ということですね。

100%を確実にものにして、最初から120%は目指さない。
好きになったら極めに行く、という考え方ということもできましょうか。

【技術書の選び方・実践編その2】時間がない人は一冊に絞りましょう

一方で、世間に流布する受験本には、
これとはまた異なる見解が書いてあります。

受験生は時間がないものですから、
これと決めた頼りになる参考書一冊に絞れ、と。

脳科学者である池谷裕二さんの本
『受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習法』という本には、
要旨ではありますが、次のようなことが書いてあります。

「人間の脳は生死に関わること以外は忘れるようにできているから復習するしかない」、と。
人間は獣だった時期のほうが長いのですから、ライオンに襲われないようにする、火はめっちゃあぶないといった、よっぽどフェイタルなこと以外は忘れて当然ということらしいです。生きていくのがラクになる情報ですね。

技術書を1冊だけ買うメリット

しかし、これもまた大切なことです。
脳の機能にリミッターや特性があるように、人間に与えられた時間も、
書籍を買うオカネもまた無限ではありません。

大学入試に合格する、あるいは、
目標の時期までに特定のプログラム言語を習得する、
といった、時間的制約があることを学ぶために、
先述の100%のローラー作戦はやっていられません。
それは道楽だから許されること。

技術書の選び方というより、なんだか勉強術の話みたくなってきましたが、要は「120%どころか、100%すら目指さない。仕事に使える80%の知識を確実にモノにする」という考え方です。

世の中「おおよそ」わかっていれば何とかなる

学生時代に読んだ本で妙に覚えているのが、予備校講師の竹内睦泰さんが出された日本史の受験本に「志賀島の金印を発見したのは百姓の甚兵衛だが、テストに出てもそんな問題は捨てていい、別のところを確実にとれ」と書いてあって、以来、逆に甚兵衛だけ覚えてしまったことがありました。この発想です。

考えてみれば道理で、
入試の問題を作っているのは大学の先生なのですから、
そんなバランスの崩れた、初代『高橋名人の冒険島』のような、
責任問題を問われるテストを作るわけはありませんし、

仕事に使う知識で本に書いてない、
ベテランから後輩への口伝のような知識は、
会社の中にいるそのへんの人に聞いたったらええねん。

Amazonのレビューは参考にとどめましょう。知識レベルは人それぞれ違うのだから

さて、実際に書店に足を運んだとして。

ひとまず、レビューの読めるAmazonアプリの入ったスマホはポケットの中にしまい、いざ買う段階になってから、参考として読むようにしましょう。

なぜなら――

  • 「自分が知らないことが載っていて、しっくり来た」なら、あなたにとって、大当たりの本です。即購入してよい
  • 「自分が知らないことが載っていて、しっくり来ない」なら、あなたにとって、小学生が高校入試の本を買うようなものです。ブリッジできる、中学入試の本を探して、身につけてから再度チャレンジしましょう
  • 「自分が知っていることだらけで、その本が正確だとわかる」なら、その服はあなたにはもう小さいのです。良書として、後輩に勧めてあげましょう

これらは全て、あなた自身の学習のレベルと主観によるもので、
誰かのレビューで解決できることではないからです。
レビューのたぐいは、最後にチョロっとだけ読むようにしましょう。
泣ける小説を探すのとは、あるいは優秀な電化製品を探すのとは随分ちがう。

まとめ~書店に行って実際に手に取ってみると全てが解決する

結論を言いますと、技術書は実店舗で買うのがベストです。

「ネットで買うのではなくきちんと足を使って本の匂いを…」
みたいな説教くさいのは私もあまり好きではないので、
購入はネットでも構いません。
しかし、実物を軽く読んでから決めることは大切です。

そして、買う冊数は、用途と目的によって決める。
楽しみながら知識欲を満たしたい、金銭的余裕のある方は複数冊。
手っ取り早く知識をつけたい方は、書店で迷って迷って一冊を決める。

これが、技術書の探し方に関する私の結論となります。
皆さんはいかがお考えでしょうか。

書店に恵まれていない街はどうすればいいのか

ただし、これは書店に恵まれた街でのお話。

私の出身は宇都宮なのですが、
いっとき筑波とか土浦に住んでいたことがあり、
あの時は大変苦労をしました。

都心がどうこう、地方がどうこうというより、
「街と本屋」との相性のようなものがあるようで、
宇都宮は大きな本屋が結構多くある。
1時間で3件廻れて、このどこかでまずめぼしい本が手に入る。

ところが、そこそこ大きい街なのに、
本屋らしい本屋がない街もあるのですね。
こういう場所では、時間やガソリン代を勘定しても
ネットで買ってしまったほうが便利です。

「街と本屋」には相性がある。もちろん、ネット通販を使ったほうが良いケースも…

いま住んでいる戸田市も然り。
最近ようやくと駅前に大きな本屋さんができましたが、
越してきた当初はかなり苦労をしました。

私はこの手の本をよく池袋のジュンク堂で仕入れるのですが、
じゃあ戸田市で手に入るかというと、
どうしてもお取り寄せになってしまう。

考えてみれば道理で、
巨大書店まで電車で20分で行ける場所に、
しかも埼玉都民だらけの街(昼間は都心にいる働き手が多い)に、
そんなスポットができるわけがない。

本屋とは――

  • 都心には、多くある
  • ベッドタウンには、あるところもある
  • 地方都市には、あるところもある
  • 過疎地にはないのでネット通販

ざっくりとそんな基準で、
お近くの書店を探してみるといいかも知れません。

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代表・デザイナー
小川 知久
Tomohisa Ogawa
中目黒の広告代理店でウェブディレクターを勤める現役のウェブデザイナー。5年にわたりアパレル系通販サイトの部門長を勤め、ビジネスの視点からデザインに携わった後、ウェブを通じた人材採用について、デザインとライティングの両面からトータルコンサルティング。上流から下流まで貫通して携わります。
無期休業中につき、現在お仕事は承っておりません。
  • ディレクション
  • コンサルティング
  • ウェブデザイン
  • コーディング
  • 企画
  • ライティング
  • イラスト
  • 運営・分析
  • 遊び心

デザイン事務所ヒサクリエ

無期休業中につき、現在お仕事は承っておりません。

アパレル系通販サイトの運営を勤めた後、広告代理店でウェブディレクションに携わる。ウェブや紙媒体を軸にした企画運営から、デザイン、コーディングに到るまでを一手に担う。

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