プレゼン術入門!クライアントに刺さる進行テクと「これだけは言うなよ!」
2016/02/22 [Mon]
WEBディレクターの斬新な提案と予算のドブ捨ては表裏一体
WEBディレクターなどをやっておりますと、
「危険な匂いのする提案」というものに出くわす事があります。
確かに斬新な提案なのだけれど、
ターゲットが全く見えない・想像もつかないとか、
作り手の内輪盛り上がりに終わる公算が高いとか。
「クライアントさんは納得してくれるかも知れませんが…効果の保証はできかねます」
というやつです。
私もお調子乗りのWEBディレクターなので、
盛り上がるとついつい乗ってしまいがちですが、
残念ながら、市場のニーズがない場所に大火を起こすには、
よっぽどの予算とパワーが必要であり、
クライアントさんの大切なお金を
勝ち目のない戦いに注ぎ込むわけにはいかないのです。
WEBディレクターは、このあたりの嗅覚を研ぎ澄ませ、
現実的な提案をできるようにしておきましょう。
ムダな(とおぼしき)時間を早送りする方法
これはどういう状況下で起こりやすいかというと、
ガハハ系の役員さん同士のミーティングで出た提案を、
WEBに落とし込むようなとき。
大方向としては決して間違っているわけではないのだけれど、
それを実行する予算と期間がない、という、
WEBディレクターとして最も困るケース。
「これを東京駅にライトアップして、ヤフーのトップにバナーを貼ってだなあ!」と言われても、私もできることなら実現させたいし、稀有壮大なのは見習いたいのですが、眼前の納期と予算では愛想笑いしかできないですよね。
この不毛なミーティングが何を原因としているかというと、
役員さんたちの考えはこうではないでしょうか。
「俺もそんなのムリなことは分かってるんだよ。でも会社の予算使うのに他とおんなじことやりたくないし、ありきたりな意見しか出てこないお前らにいっちょ発想法というのを見せてやろうじゃないか!」
こんな場面にこそ、
まとめ屋であり、火消し屋であり、膨らまし屋でもある、
WEBディレクターの出番というわけです。
鉄板だけど知られてない手法や提案を溜めておく
こんな場面でWEBディレクターが何をできるかというと、普段から
「WEBの世界では常識だけど一般の人口に膾炙していない手法や提案」
を溜めておき、びっくり水のように投入するという方法です。
例えば、
このクライアントさんがまだ手を着けていないネット広告を提案してみたり、海外のデザイン性の高いサイトでよく見かけるが、あまり日本で商用利用されていないハイセンスなデザインをワンポイントで採り入れてみるとか、その地方に強いタウン誌的な媒体と積極的に絡めてみるとか。
WEBディレクターたるもの、「何かないですかねえ」と言われた時、
すぐに取り出せるアイディアを、常にいくつか持っておき、
いつでも提案できるようにしておくと良いでしょう。
企画を座礁させると何も産み出せないと、場の全員に理解してもらうのもWEBディレクターの仕事
この不毛なミーティングを野球で例えますと、
9回の裏・ツーアウト・フルカウントで、
必死にカットしたりしてファウルを連発する様に近いでしょうか。
ボールは遠くまで飛んでいくのですが、ファウルでは点数になりません。
そもそも打席上の選手がホームランを打てるバッターなら、
こんなことにはなっていないのですから、
ここはひとまず内野安打を狙いましょう。
とにかく次へ繋げることが大切であり、
この「できないアイディア披露合戦」を続けていくと、
行き着く先は三振・ゲームセットです。
野球経験ないのに我ながらよく例えています。
人間は、ビジュアル化されたものに納得する
WEBディレクターとしてこんな場面で私がよく使うのは、
以前のコラムでも書きましたが、
絵にしてイメージを湧かせてもらい、提案する方法。
以前のコラムでは、ラフスケッチを提出する理由について、
「ちゃんと打ち合わせをした実感を得る&上司に取り次ぎやすくする」効果
をWEB担当者さんにもたらすため、と書きました。
しかし、いま目の前にいる役員さんや決済者向けに絵を描くメリットは、「ここまでイメージが固まっているならミスはない&契約書にサインができる」という、より実際的な効果が期待できるということ。
ノートにサラサラサラ…っと、
トップページのレイアウトだけでも描いてみてください。
できるだけ機能やギミックを具体的に、絵は上手く。
ECサイトなら売上アップの見込みパーセンテージを、
お問い合わせLPなら目標件数もきちんと書いて。
お客様には「最終的にこれが手に入る」という実感こそ必要です。
ざっくりした話をする場面、実務級の精緻な話をする場面
このとき、WEBディレクターとして私が個人的に気を付けているのは、
実務級の面倒な情報は出さない事。
「○月までにCVRがどうだの、ページフローがどうだの」
を書き出して提案すると、途端に話がまとまらなくなり、
臨席の偉い方も飽きてしまいます。
これはこのプロジェクトを任された実務級の方に改めて提案しましょう。
ただし、その偉い方がデータ野球好きな方でしたら別です。
緻密さこそアピールになる場合もあります。
ここは相手を見て提案しましょう。
場の空気を読めるようになるのも、
WEBディレクターとして重要なスキルです。
あえて言おう!完全オリジナルの提案などない
WEBディレクターとして毎日ちょっと変わったことを考えている上に、
「斬新な、斬新な」と言われると、地球上にかつて存在したことのない、
完全オリジナルなものを求めてしまいがちです。
しかし「今まで誰もやっていない」ということは、
裏を返すと「やっても無駄だからやらなかった」ともいえます。
「メルマガ会員の中から抽選でロゴ入りリンゴをプレゼント」
とか言われても、もっとドギツイ物でないと、
いわゆる「バズる」絵が想像できないじゃないですか。
完全な自社事業で「まだ見ぬそれに向かって全社挙げて取り組もう!」というコンセンサスが、社長以下すべてのスタッフにとれているのなら、一縷の希望に賭けて提案してみるのも良いでしょうが、他社のお金を使ってそれをやってはいけません。
よろしければ、こちらの記事もご参考に。
【ホームページのコンセプトの決め方】
自分のいつもの必勝パターンを使った上で、
競合他社とはちょっと違う一工夫を込めた提案をするのが
WEBディレクターであり、
WEBディレクターたる者、
太鼓持ちや博打打ちであってはいけないのです。
打ち合わせで絶対にやってはいけないこと、それは「資料の棒読み」
最後に。個人的に思う、
打ち合わせや会議などで絶対にやってはいけないこと。
これは話術だの心理学だのテクニックだの以前の問題なのですが、
資料の棒読み
(書いてあることをそのまま読む)だけは絶対にやめましょう。
私は戦争と差別の次ぐらいに資料の棒読みが嫌いです。
全部手元の紙に書いてあるのですから、
そこに書いていない補足があれば言ってください。
ちゃんと書き足すペンは持っているので。
よく遅刻のことを「時間泥棒、殺人に等しい」という人がいますが、
この棒読みもそれに準ずる行為だと認識しています。
Aボタン連打でセリフが飛ばせるなら飛ばしたいぐらいです。
資料の棒読みをするぐらいなら、
別個にもうひとつ読み手専用の資料を用意しておいて、
それを読み上げましょう。
忙しいクライアントさんの時間を奪う権利と
せっかく時間を割いてくれたのにイライラさせる権利は
我々にはないはずです。
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- 代表・デザイナー
小川 知久
Tomohisa Ogawa - 中目黒の広告代理店でウェブディレクターを勤める現役のウェブデザイナー。5年にわたりアパレル系通販サイトの部門長を勤め、ビジネスの視点からデザインに携わった後、ウェブを通じた人材採用について、デザインとライティングの両面からトータルコンサルティング。上流から下流まで貫通して携わります。
無期休業中につき、現在お仕事は承っておりません。- ディレクション
- コンサルティング
- ウェブデザイン
- コーディング
- 企画
- ライティング
- イラスト
- 運営・分析
- 遊び心